皆さんこんにちは
きりこまち先生です

いよいよ夏本番と言った日差しが降り注いできましたね
テレビでも「7月下旬並みです」と言った日がちらちら聞こえるようになってきました

まずは梅雨の時期を乗り越えなければいけませんが、いまから夏が待ち遠しいです


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さて今回は復学事例についてのお話です。

その中でも今回は「5月病」に関わる話となります。
「5月病」とは、一般的に学生や新社会人が環境の大きな変化を伴う4月を経験し、5月の大型連休中にその疲れがどっと出て「うつ症状」や「適応障害」を起こす状態のことを指します。

しかし、今年はコロナの影響で全国的に学校の再開が遅れたため、いわゆる「5月病」の時期も後ろ倒しになっているようです

特に大都市圏ではこの6月から登校が再開された学校も多く、入学式やクラス替えもこのタイミングとなったお子さんが多く見られます。
つまり、この6月に環境の変化を経験したお子さんたちが、7月頃から登校への問題を抱える可能性があるということです。

今回はそういった状況を想定し、過去にあった5月病をきっかけにした不登校のケースをご紹介いたします

ご紹介するのは中学2年生、女の子のケースです。
彼女は持ち前のまじめな性格から、学校の宿題提出は一度も忘れたことがなく、どれだけ時間がかかってもそのクオリティに妥協しない、親御さんからみて少し心配になるくらいに完璧主義な傾向のある子でした。
その真面目さも手伝い、少々の風邪なら登校してしまい、結果中2の4月まで皆勤で登校していた子でした。
しかし、中2の4月に始業式から帰宅すると「○○ちゃんと一緒のクラスになれなかった」と暗く沈んだ様子で帰ってきました。

その時は「そんなこともあるだろう」、と親御さんは特に気に留めていませんでしたが、問題が大きくなったのは4月の終わり、GW直前の朝でした。

「もう学校に行きたくない、、」
消え入るような声で、頭まで被った布団の中から彼女はお母さんに伝えたそうです。
仲の良かったお友達とは離れてしまい、元もと友達付き合いの多くなかった彼女は新しいクラスで親しい友達が作れなかったようです。
そのうえ、授業中にふざける周りのお子さんへの憤りもあり、自分なりに頑張ったけれどももう耐えられなくなった、なんで自分ばっかりこんな目に会うのか、というのが彼女の言い分でした。

この話の際中、顔こそみせなかったものの、声はずっと泣きじゃくっていたそうです。
その日は親御さんも登校を無理やりに促すようなことはせず、「疲れているのだろう」ということでそっとしておきました

今まで休むことなく登校してきた子だから少し頑張りすぎたのかもしれない、今日1日ゆっくり休めば自分なりに整理できるはず、初日こそこういった考えの元、おうちの中でもリラックスできるようにということで好きなことをやらせ、食事も彼女の好物を腕によりをかけて作りました。

彼女もそんなお母さんの思いを感じてか、その日はいつもよりも「お母さん、ありがとう」、「お母さんもゆっくりしてね」、「これおいしいね」、といった言葉が多かったそうです。
親御さんとしては嬉しい反応です。

親子関係の悪化も見られなかったため、この日は学校の話はあえて触れずにご家族で楽しく過ごしたようです。
しかし、問題は次の日からでした。

朝いつもの時間に声をかけても、今度は「、、、行かない」という言葉だけでそれ以上言葉を続けることすらありませんでした。
昨日の楽しそうな様子からは180度異なる姿に、大変ショックを受けられたそうです。

しかし、登校時間が過ぎ、お昼ご飯の頃合いになるとケロっとした様子でリビングに降りてきて食事をとり、「今日のご飯もおいしいね!」と元気な様子、、、。

親御さんとしてはまだ休息が足りないのだと思うしかありませんでした。
この日以降、朝声をかけることもやめ、自然に行けるようになるまでは学校の話もせずに家がリラックスできる場所になるようにと親御さんは様々な環境整備を行いました


勉強が遅れないよう学校の教科書に準拠した参考書を各種揃え、欲しかったゲームを購入し、本人から相談があった思春期特有の悩みに対するサプリや健康器具も揃えました。
自分に自信が持てるよう考えつく限りの言葉で毎日ほめるようにし、「平日でも7時に起きてきた」という事実だけで「あなたはなんて自己管理ができる子なんだろう!」と称賛しました。

こういった努力の結果、彼女は家の中でとても明るい様子で過ごすようになりました。
言われずとも22時には就寝し、8時までには起きて朝食を済ませ、お昼ご飯などは自分で用意し、雨が降れば干している洗濯物なども取り込んでくれるまでになりました。

中学生の生活として、あえて点数をつけるのであれば100点と言ってよい状態だったと思います。

こういった様子だったため、登校はできないものの、親御さんとしてはあまり大きな問題意識は持たず、「この子だったらいずれ行けるようになるはず」と見守っていました。

そんな親御さんが焦りを感じ始めたのは、登校できないまま2か月が過ぎた頃でした。

世間はもうすぐ夏休みというタイミングです。
「いずれ行けるはず、と思って見守ってきたものの、このままでは全く登校できないまま夏休みを迎えてしまう。そうなれば学校に行けないまま、大切な中学2年生の夏を家で無為に過ごしてしまうことになるかもしれない。そうなるのは可哀そうだ。」

これまで極力学校のことに触れずにきた親御さんでしたが、こういった焦りから彼女に対して改めて登校を促しました。

結果、それまで落ち着いて家の中では楽しく過ごしていた彼女からは想像もできないほどの強い反発と、幼い子のように泣きじゃくる姿が見られました。

どうして急にそんなことを言うのか、学校に行かないことを認めてくれたのではないのか、なんで私ばっかりこんな目に合わないといけないのか、もうこんな気持ちになるくらいなら生きていたくない、私のことが嫌いなんでしょう、と堰を切ったかのように言葉があふれ続けました。

その日はこのような話が5時間ほど続き、最後は本人が疲れて眠ってしまったそうです。

話し合いは平行線のまま終了し、翌日彼女は一度も部屋から顔をだすことなく過ごしていたそうです。

こういった様子から、親御さんは「このまま待っていても何も解決しないどころか、状況は悪くなるばかりなのかもしれない」と危機感を覚え、当センターへご相談いだたく運びとなりました。

支援が開始してからは家庭内での過去の教育背景の把握、現在の親子関係の確認、不登校の原因となった事柄の把握など、家庭内の細かな情報まで把握していきました
こういった事前の分析を繊細に行うことにより、カウンセラーが介入するための下地づくりや親御さんから本人への対応内容を変えていきます。

こちらのケースでは事前の分析を行った後に、カウンセラーをご家庭に直接導入し、結果的には復学に至るまでの道筋をカウンセラーとつくりあげることができました。
この導入部分は非常に繊細な内容となりますが、親御さんではない第三者からの立場だからこそ、現実原則にのっとった現実的な話も良く聞いてくれたのだと思います。

復学後、彼女は長く休んでいたことなど嘘だったかのように元気に登校し続け、結果体調不良でのお休みを含めて一度も学校をお休みすることなく中学校を卒業していきました。
結果だけみれば以前までの彼女同様、少し無理をして登校を果たしたように見えますが、復学後の彼女は自分が頑張りすぎていると感じる時は「まぁあまり真剣にやりすぎることもないか」と自分の完璧主義傾向と向き合い、割り切ることができるようになっていました。

その割り切り方のおかげで、努力はしても無理をし過ぎることはなく、頑張っても爆発はすることがないという中学生として適当な生活意識を持てるようになりました

子どもには十人十色の性格傾向があり、どんな傾向でも長所となりえます。
しかし、それも尖りすぎると短所になってしまったり、時には社会生活に影響をだしてしまうようなことにもなりかねません。

ここで大切なのは「そういう性格傾向があるから、社会生活を送ることはできない」とあきらめることではなく、「そういう性格傾向があっても自分で折り合いをつけられるようになる」ことです。

学生のうちはその折り合いをつけるための大切な期間です。

この記事をご覧になり、少しでもうちの子にも当てはまるところがあるなと感じられる方はぜひご相談いただければと思います。

それではまた次回の記事にて

きりこまち先生
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