前回記事の続きです
いよいよ登校刺激に私が伺い、また復学をサポートして下さる訪問カウンセラーの先生(なんと水野先生!)を導入していきました。
登校刺激をかける前の分析では、彼は、自分の考えをまとめて話をする事が苦手なため、本人と対峙しても何も話さず、黙ってしまって話が出来ないのではないかという心配がありました。しかし、彼は予想に反して自分の言葉で「学校に行きたい!」とはっきり言っていました。また、学校に行けなくなった自分なりの「きっかけ」や戻る上で不安なことがあるということ、親への思いも同時に話をしてくれました。
その上で彼の抱えている問題点を私から指摘しても彼は反発したり黙ることもなくしっかりと聞いてくれました。
その不安な事というのは・・・
自分が休んでいる間、友達が自分の事をどう思っているのかがわからないから不安だ
給食を食べる時に友達にからかわれてしまうことが不安だ
運動会があってそれの練習をしていないから不安だ
という事を彼はまとめて話すことが苦手ながらも自分の言葉ではっきりと私に話をしてくれました。
この彼の不安な部分を私が尋ね、その後は訪問カウンセラーに支援を引き継いでいきました。
訪問カウンセラーとの復学に向けての支援の組み立ても素直に聞き、自分自身で感じている上記の不安を解消するためにやるべきことというのがわかったからか、それまでは浮かない顔をしていましたが、その後は自信を取り戻したような表情になっていました。
彼のケースでは、私たちが組み立てた復学プランを学校側と共有する事が必要だと感じたため、学校の先生方とカウンセラーが直接会議をし、彼の復学について必要な配慮などをお伝えに上がることや、先生に家庭訪問に来て頂く事や、家庭内の過ごし方についてカウンセラーから本人にアドバイスをしました。彼も笑顔でカウンセラーが組み立てた『彼のための復学プラン』を了承してくれました。
実は不登校の復学支援では、「子どもの気持ちにどうふんぎりをつけさせるか」と「具体的にどのように現実問題としてある不安要素を取り除いてあげるか」が重要なのです。その2点を踏まえた登校刺激(ふんぎりをつけさせる対応)と訪問カウンセラーの導入(不安要素の具体的解消のための道筋)ができたのではないかと思います。
「学校に戻るためにこれから一緒にがんばってこう!キミなら大丈夫!!」というカウンセラーの言葉がけにも彼は力強く返事をしていました。
また、家族関係の再構築では私が親御さんと子どもの間に入り、彼なりにこれまで親に心配をかけてしまっていたことを気に病んでいたこと、不登校の生活の中であれしたいこれ欲しいとワガママを言ってきてしまったことも、「言い過ぎていた」と素直に反省して、親御さんにむけて涙ながらに謝罪をしていました。親御さんも彼に向けて「お母さんもお父さんも〇〇を信じている。〇〇ならできるよ。」と涙ながらに話をされていました。私はさらに家族の絆がそこで深まったことを感じました。
彼は、彼なりに学校へ行きたいけど行けないという不安を抱えて光の当たらない個人的な闇の中で、もがいていたのだと思います。それをこの日に吐き出すことで、自分なりに何が問題だったのかを考え、自分が学校に戻るためには何が必要なのかカウンセラーの話を素直に聞き、冷静に考えて判断することができたのだと思います。
不登校の状態になり、家庭内で幼い一面を見せていた彼ではありましたが、実は、それぐらい年相応の考え方ができる力のある子どもなんだという事が、この登校刺激によって分かりました。
登校刺激終了後、親御さんからは「家族にとって大切な日になりました。これから家族になにがあろうと乗り越えて行ける気がします。ありがとうございました」と言っていただきました。
長くなりましたので続きは、また次回に。
次回は実際にどのような復学準備をし、どのように復学を果たし、継続登校のステージに入ったのかを書きたいと思います
どんきー(佐藤博)
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