学校の先生が教育現場で悩み、自ら命を絶つという心痛極まりない事件について報道番組の特集でされていました。



志高く、小学校の教師になった木村百合子さんは、教員採用試験に合格し、本採用後わずか半年後に自ら命を絶ちました。24歳の若さでした。報道では木村百合子さんの苦悩の日々と現代の教育現場が抱える問題点、そして今なお続く遺族の方々の苦悩が描写されていました。


学級崩壊の悩みなどについて生前につけていた手記などが公開され、その苦悩の日々が見てとれました。

その中でいじめについて注意しても聞かない子。「殺してないんだからいいじゃん」と言い放つ子。小学4年生になっても母親に抱っこされながら登校する子、テストの答案に教師に対しての悪口を書く子。自分が思い描いていた教師という仕事の現場とのギャップを感じたことは想像に難くありません。


手記の内容やその筆跡から推測する限り、かなり性格的にはまじめで正義感の強い人だということが伝わりました。だからこその上記の出来事についての悩みを持たれたことも理解できます。

「死ぬくらい辛いならやめればいいのに」
「今の時代、いろんな子がいるから適当に力を抜きながらじゃないと先生の仕事は務まらない」

などの意見を持たれる方も少なくはないと思います。


しかし、教育というものは本当にそれくらいの覚悟がないとできないものだとも感じます。
また逆に、「辛かったらやめればいい」「学級崩壊に目をつぶって1年何とかやり過ごせばいい」という姿勢の先生ばかりだと「学校崩壊」になってしまうのではないかとも感じられます。
辛くなったらやめたり、息抜きをしながら触らぬ神にという対応ができる先生ならそこまで悩まない。そして深く悩むこともなく、問題を直視せずに、のらりくらりとしている先生の教育法が今のご時世で多くの保護者の皆さんに共感されるはずはありません。それもプレッシャーの要因となることでしょう。

木村先生が自らの命を持って提起したこの問題は、とても深く、今後の教育について親が、先生が、学校が、教育支援機関すべてが忘れてはならない事件だと感じます。



報道の中である先生がおっしゃっていました。


「教師という仕事は常に成功し続けないといけないというプレッシャーが強く、その重圧につぶされそうになることがあります」



これは私自身も強く共感することでした。

私は家庭教育カウンセラーの立場で不登校の復学支援などをしていますが、不登校問題は家庭からしか見えない苦悩があり、それを分析して紐とき、親御さんの考え方や行動を変えていくプロセスを踏んでいくことを考えます。
その過程では子どもが家の中で暴れたり、親に暴力を振るったり、過度な母子依存が出たり、深夜徘徊したりという行動もあります。親御さんの苦悩もはかりきれないことを知っています。

そのような中でいつも私が感じるのは「だから私が助けてあげたい」ということ。

しかしながら私も人間。

時々は「いつも成功し続けないと行けない」というプレッシャーに押しつぶされそうになることもあります。私は魔法使いでも仏様でもないので、現実的な対応をお伝えして、問題解決のためにありとあらゆる手段を講じて子どもとぶつかっていく対応をします。
これは支援を受けている方ならご存知の通りです。本当にカウンセリング理論や教育方法論の枠内を飛びだしての対応ばかりです。(枠内の対応だけでいいならきっと不登校の問題は学校と公的機関だけですべて解決できているはずですからね)

時には「なまはげ」みたいなこともするし、時には夜回り先生のような対応もするし、時には近所のお兄ちゃんのような対応をすることもあります。もちろん言うまでもなくカウンセリングや教育コーチングも行います。ホントありとあらゆることを考えて、ダイレクトアプローチの場面では必要に応じてぶつかったり、演じたり、寄り添ったりします。

学校に行けなくて家で暴れていた子、みんなと同じように学校へ行きたいと毎晩布団で泣いていた子、将来の不安を抱えながらも自ら殻に閉じこもり動けなくなってしまっている子たちが支援を受けて学校へと戻っていく姿を見るたびに「本当によかった」と涙が出そうになります。
でも、半刻もしない内に次の対策を考え、新たな支援を求められる方のことを考えなければなりません。


私たちのようなやりかたが浸透すれば多くの不登校の子は救えるでしょう。
しかし、上記のような物事を踏まえてこのような援助活動を「したい」人、そして「できる」人を育てていくのは容易ではないと感じています。



学校の先生方はそのような中で、多くの生徒さんを同時に見ながら、学級運営をされています。志が高い先生ほど「つらいからやめる」というような匙投げはできません。その心中はとてもよく理解できます。


学校の先生方とは不登校の復学支援の説明をする際に必ずお会いしてお話をします。先生方も不登校の子供たちのために何をすればいいのか、または何もしないほうがいいのかを悩まれています。

子どもも悩み、親も悩み、先生方も悩んでいます。

現代の教育は混迷していると言えるかもしれません。
だからこそそんな中でどのような行動ができるのかを考えていけなければならない時代になって来たのではないかと思われます。
木村百合子先生の件は氷山の一角ではないかとも感じられます。データ上でも新卒の先生の離職率の増加や、教師の鬱の発症率が近年増加しています。



私も家庭教育カウンセラーという立場から、今回知った出来事を深く胸に刻みながら、自分自身のこと、そしてこれから関わっていくであろう親御さんや子どもたちのことを考えてより良い未来を作っていければいいなと思います。


最後になりましたが、死ぬほど悩んでいる学校の教師の皆様、どうか死なないでください。
先生同士、先生と親などが相談し支え合える枠組みが火急に整備されることを願います。




よろしければこちらもポチッと応援お願いします。(1日1回クリックを  
    ↓

にほんブログ村 子育てブログ 不登校・ひきこもり育児へ