2009年11月02日
一年生の行き渋り
家庭教育相談をしておりますと一年生の行き渋りの相談がよく寄せられます。
一年生の子どもが夏休み明けから行けなくなったという相談や、他学年のお子さんの不登校の案件で復学支援を受けているときに、
「実は下の一年生の弟も行き渋りが激しく出て困っているんです
」
という相談を寄せられることがあります。
小学校一年生の行き渋りというのは比較的原因が見つけやすいので、早期対応で元のレールに戻してやることは可能です。
では一年生の行き渋りの原因でよく見受けられるのはどのような点なのかを家庭教育の領域から考えてみましょう。
1、環境の変化に不適応を起こしている
過去の記事不登園の対談でも書きましたが、幼稚園と小学校では先生の接し方など、過ごし方に大きな違いがあります。小学校では自分ですることを求められますし、幼稚園などよりも協調性を発揮していく場面も多くなります。幼稚園の段階から、自分ですべきことを親に頼っていたお子さん、協調性が発揮できずに躓きが見られたお子さんは、小学校で求められるラインで戸惑いを覚えて、親が思っている以上にストレスを感じてしまうことがあります。
2、年相応の母子分離ができていない
もちろん小学校1年生ですので、完全な母子分離は無理です。しかし、小学校一年生なりの分離は必要だと考えられています。
学校には自分の足で向かわなくてはいけません。教室には頼れるお母さんはいません。そのような環境に対してストレスを感じてしまい、学校が怖いという流れが作られていきます。
他にも様々な要因がありますが、大筋では上記2点が主な原因です。
発達障害に関わる傾向があるお子さんはまったく違う解釈になりますので専門機関へのご相談が必要だと考えられています。
さて、上記2点の問題に関わる小学一年生の行き渋りを私たちはどのように解決してきたかということを次にご説明したいと思います。
そのような家庭を分析していますと、親の接し方にひとつの特徴が見えてきます。
そうです。過干渉と過保護です
親は子どものためを思って良かれと思って口や手を出します。
「ほら、宿題したの?」
「時間割はすぐにしたほうがいいよ。」
「手は洗ったの?うがいは?」
「水筒忘れてるわよ」
「○○君と仲良く遊びなさいよ」
などなどなど・・・日常会話の大半が、メシテイ(命令・指示・提案)になります。その根底にはお子さんへの愛情があってこそではありますが、それ以上に「失敗させたくない」という思いが働いているようです。
我が子のことですので親は子が失敗することが事前にわかります。
この子はここで苦労するだろうということも見えてしまいます。
見えるからこそ、事前に失敗を回避させるために、上記のような言葉がけや手だしをして失敗を回避させます。実はそこに大きな問題があるのです。
そのように育てられたお子さんの特徴としては、失敗をするという経験、つまり、失敗から自分の力で起き上がって乗り越えた経験が少ないため、極度に失敗を恐れる傾向が強くなります。先々のことで不安になります。ほかの子は嫌々ながらも乗り越えていくような出来事に関しても・・・
「プールが嫌だから休みたい」
「明後日の給食のホウレン草が嫌だ」
「作文・・・書けないよ」
と先々のこと、嫌なことに対して不安が募ります。
身体症状に訴えかけてくる子も少なくありません。(腹痛、頭痛、足痛、下痢など)
また、なんでもかんでもお母さんが助けてくれるので、ちょっとしたことで「ねぇ。おかあさん〜」「ママこれしていい?」など、母親にべったりになったり、何ごとに対しても許可を求めてきたりするようになります。
このように一年生の行き渋りは始まります。
環境の変化に不適応を起こしてしまう性格、母子分離が年相応に行われていない関係性が原因だと判断される行き渋りが、五月雨登校や母子登校の形になり、最終的に不登校になってしまうケースも少なくありません。
では、具体的にどのような対処を考えていくべきか。
不登校になったケースを復学まで導いたときにお母さん方がよく言われることがあります。
「実は一年生の頃から行き渋りがあったんですよね・・・そのときの対応をしっかりしていればこのようにならなかったかも知れないと思うと子どもに申し訳ない気持ちです」
「一年生の行き渋りの時に、行きたがらないのであれば家庭でゆっくりさせてくださいね。お母さんとのスキンシップをしっかりとって甘えを受け入れてあげてくださいね。とアドバイスをされたのを鵜呑みにした時から、さらに子は学校に適応できない性格になってしまったと反省しています」
この2点の話は実際によく聞く話です。
特に、甘えを受け入れる、休むことを全面的に(積極的に)認めてしまう対応から崩れてしまったケースが少なくありません。
もちろん、そのような「待つ対応」や「甘えさせる対応」で復学を果たすケースや、学校以外の選択肢を選んでしっかりと自立をしていくケースはあります。
しかし、環境の変化に不適応を起こしているケース、母子分離が果たされていないケースではそのような対応をしてしまうと、嫌なことからは逃げることしか考えなくなり、家庭の中でもわがままで自分本位な発言が目立つようになり親としてもそのような子の変化に戸惑いを覚えられます。
母子分離に関しても甘えを受け入れることは今よりもより母子密着を促す対応ですので真逆の対応になり兼ねません。
様々な考え方のある不登校の復学メソッドですが、小学一年生の行き渋りに関しては、私はそのように考えています。
解決のためには家庭内の対応を変えていくこと、親の対応を変えていき、自立を促すこと。これに尽きます。
しかし、これに尽きるといいながらもお子さんの性格傾向や現状の家庭内対応や親子関係は個々のケースによって違うため、「甘えを受け入れればいいんだ」とか「自立を促すために失敗をさせればいいんだ」という雛型的な支援法は当てはまらないとも考えています。
環境の変化にも強く、年相応の母子分離を目指していけば、子どもたちは自立していき、「やらなければならないこと」「乗り越えていかなければならないこと」の多い学校生活にも適応していけると考えています。
※「私の対応はこのようなケースに当てはまるわ」という方は、書籍『ころばぬ先の家庭教育』をご覧になって頂ければ、何かの参考になるかもしれません。お役立て頂ければ幸甚です。
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この記事へのコメント
うちは、中学生ですので少し違いますが、小学生低学年の子供さんだからこそ悩まれるという場合をよく聞きます。
「待つ対応」や「甘えさせる対応」をとりあえず指示されることもあるように感じます。
しかしそれがさらに迷われる原因となっているかもしれませんね。

幼稚園のころから嫌なことがあると、行き渋っていた妹に対しては、私なりに気をつけて対応していたつもりだったので…。
先生に休んだ日の対応を教えていただき、あれ以来は順調に登校していますが、なかなか起きて来なかったり、起きてきてもぼーっと座り込んでいる姿を見るとドキドキしてしまう私がいます。(そんな時は、なるべく家族から離れて家事をしていますが、自分の中に不安があるからなのでしょうね)

妹は学校であったことをあまり話さないので、原因などはわかりませんが、私としては、とにかく今まで教えていただいたことを心に留めながら毎日を過ごし、困難やいろいろな変化にも対応できる子になっていって欲しいと思います。
今後もよろしくご指導下さい

までは行きませんでしたが、息子は幼稚園のころから、朝嬉しそうに出掛けて行くことが少なかったように思います。私は「このままでいいのだろうか」という不安を持ちながらも日々の慌ただしさに流され、息子の出しているサインに真剣に向かい合おうとしていませんでした。そして、とうとう恐れていたことが・・・4年生で学校に行かれなくなりました。早いうちにこのような理論や対応を具体的に教えていただいていたら最悪な事態にはなっていなかったのでは
そして息子につらい思いをさせずにすんだのではないかと思いました。私は、最悪な状況になるまで動けませんでしたが、今少しでも子どもの行動に不安を感じている親御さんも、先生のブログや御本に出会えることをお祈りしています


私は先生の家庭教育の本を読んで、先生の支援をお願いしたのですが、なかなか先生の本のような会話が出来なくて苦労しました。
いつのころからでしょうか、この会話は甘えさせるのではなく息子のすべてを受け入れている言葉だと感じたのは・・そして息子のありのままの姿を私の目が見つめていました
そのころから私が変わりました。人と違ったことをしていても[何でこんなことするの???」ではなく[変ってる子ね」と思えるのです。たいていの事は大したことではなかったのです。息子の事を認めてあげることが大事だったのですね。
先生の出会えて本当によかったと思います。これからもよろしくご指導お願いします

先生の本が子供の事で悩んでいるたくさんのお母さん方に読んでもらえることをお祈りしています

次女が来春小学校に入学します。
長女の不登校から学んだつもりの事も、いざ次女と向き合うと生かし切れていなかったりで、いろいろ気を付けなければと日頃から感じていました。
先生に説明して頂いて、だいぶ頭の中を整理することが出来ました。
次女は幼稚園の年少から年中に進級した時に行き渋った事がありました。
泣いて抵抗する子どもをどうする事も出来ず休むことになり、休んだ日の対応も徹底することが出来ずでしたが、支援の先生に「実は次女が...」とご相談したところ、「今、しっかり対応しないと1年生の初めから行けなくなる可能性がある」と言われ、具体的な対応をお聞きし私の覚悟が決まったら、子どもにも「幼稚園は行くものだ」という意識が定着したようでした。
来週には、就学時健診があります。
環境の変化にも強く、年相応の母子分離が出来るように心がけたいと思います。
自分が割と真面目に頑張ってた時期に「少しサボるのも大事なんだなぁ」と思った事があり、子どもにもそれを認めてしまいました。
長い人生の中では休まなくてはいけない事もあるかも知れません。けれど一人の「大人」に育てて行く為の「基本」を知っていれば、例え一度休ませたとしても軌道修正は出来たと思います。
「間違い」を続けてしまい、不登校につなげてしまいました。
「怒鳴りつける」ではなく「甘やかす」でもなく本当の意味で子どもを受け止め、信じて任せるやり方を…早い時期に「知る」事で未来が変わるのは大げさでない事実だと、今の私はわかります。
多くのお母さんがまずぶにん先生にたどり着けるといいですね
(*^-^*)
ちゃろさんこんにちは

そうですね。中学生の家庭内対応と、小学生の家庭内対応は細かいところでは別モノですので、どちらが難しくてどちらが簡単かということはありません。根本的に能力の違いやステージの違いが大きいのがその理由です。
アドバイスをされる方によっては「待つ対応」「甘えさせる対応」一辺倒になりがちなのが今の世の中の流れのようです。それだけですべてが解決できれば親も精神的に楽なのですが、そうはいかないのが現状のようです。
かのんさんこんにちは

1年生は学校へ行く限りはすべて新しいものだらけですので、時々疲れちゃうのも無理はありません。しかし何か嫌なことから逃げる傾向をこの時期から認めてしまうのは今後の社会生活で親も子も苦労することになってしまう可能性もあります。自立を促す対応、何かあれば支えてやれる親子関係を作っていきたいですね。
かのんさんのお子さんは話してこないタイプでわかりにくいですが、なんでも話して不安をぶちまけるタイプのお子さんも、それはそれで親御さんの気苦労は多いです。どっちがいいかという考えではありませんが、ポジティブに話してこないタイプなりの良い面に目を向けてみましょうね。
マロンさん、先日はありがとうございました

物事の嫌な部分から回避する傾向は、早い子では幼稚園児の頃から見受けられます。しかし、そのサインを見ていざ何か動き出したり考え方を変える親御さんは少ないです。なんせ、まだ幼稚園児や一年生なので不安になって逃げたくなることもわかりますしね。
大切なのはどのラインまでを受容や共感し、そのラインを越えれば正していくような対応をとるのかということです。拙著がその役にたてれば幸いです。
ふらわぁさんこんにちは

ふわらぁさんの次女ちゃんは来年ピカピカの1年生なのですね。確かに今回の記事はタイムリーな内容でお役にたてればうれしいです。
支援の先生がおっしゃるように、幼稚園の頃からそのような傾向が出ているケースでは、小学生で行き渋ることも考えられます。1年生には1年生なりの対応を考えて、「最低限のライン引き」をしっかりして親としてのサポートをして頂ければと思います

そらさんこんにちは

そして先日の図書館への本の寄贈の件もありがとうございました。お忙しい中で大変だったかと思われますが、とても嬉しく思います。
おっしゃるとおり人生は長い。その中で少し立ち止まって力を蓄えることも必要だと思います。
しかし、本当にその立ち止まりが次へのパワーを貯める行為につながっているのかということを考えれば判断は変わってきます。特に小中学生の場合は・・・
どうしていくかは親御さんの決断次第ではありますが、私たちの支援活動がその選択肢の一つに入れればという思いはあります。



